夜空に君という名のスピカを探して。
『私は死んじゃってるんだよ……』

「っ……でもこうして、俺と言葉を交わしてる。ちゃんとこの世界に存在してる!」


 こんな奇跡、もう二度と起きない。

それは私にとって幸せな時間であり、別れという最大の痛みを残す。

それでも、君と出会えてよかったと迷いなく言える。


「頼むから、消えるなよ……っ」

『……っ、うぅっ、……あぁ、消えたくない、なぁ』


 ポロポロと泣いて、歪む視界で彼が見ている星空を目に焼きつける。

この空を宙くんと永遠に見続けられたら、どれほど幸せだっただろう。

『でも……きっと、私にはもう……』


 宙くんと一緒にいられる時間は少ない。

少しずつ起きていられる時間が短くなっているから、確実に消えるときは近づいている。


「せめて、残された時間は一緒にいてくれ」

『え……?』

「俺のために、時間を使ってくれないか」

『宙くんのために?』

「お前は勝手に俺の前に現れて勝手に消えるんだから、それくらいしてくれてもいいだろ」


 横暴な物言いに聞こえるけれど、そうじゃない。

私を必要としてくれているからこその言葉だった。

それに彼のお願いは、私に幸福しかもたらさない。

君の得になることなんて、あるのだろうか。


「それで、物書きになりたいって夢を今から叶えるぞ」

『……急になに言ってるの?』

「急にじゃない、お前のためになにかしたいってずっと考えてたんだ」

『叶えるって、私は死んでるんだよ? 無理に決まってる』


 不意打ちに告げられた宙くんの提案は、現実味もない上にクレイジーだ。

私は信じられない思いで、驚きの声を上げる。


< 103 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop