夜空に君という名のスピカを探して。
「いらっしゃいませー」 


 大学生だろうか、金髪美女がカウンターから声をかけてきた。

『カラオケにゃんにゃん』のロゴが入ったエプロンをつけているので、店員だろう。


「三名様ですね、何時間ご利用ですか?」

「二時間で……あ、これ使えます?」


 率先して受付をしてくれている佐久間くんが、駅前でもらったという室料三十パーセント割引券を出した。


「はい、お預かりします。お時間終了十分前にご連絡させて頂きますね。混雑していると、ご延長が難しくなる場合がありますのでご了承ください。それでは二〇三号室になります」


 部屋番号の書いてある伝票とマイクが二本入ったカゴを佐久間くんが受け取り、私たちは部屋へと向かう。


「うぉー、三人にしては広いな」


 肩からかけていたエナメルバックをソファーの上に置きながら、風間くんが驚きの声をあげた。

その横で気の利く佐久間くんが、電話で皆の飲み物を注文する。

呆然と立ち尽くしていた加賀見くんは、あれよあれよという間に風間くんと佐久間くんに挟まれるようにして座らせられていた。


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