夜空に君という名のスピカを探して。
『宙くん?』


 不思議に思って名前を呼ぶと、彼は夜空を見上げた。

ある星を瞬きも忘れるほど、食い入るように見つめる。

やがて運命の恋人でも見つけたかのように、愛おしむように呟く。


「スピカだ……」

『スピカ?』

「乙女座のことだ」

 へぇ、彼が星座に詳しかったのは意外だった。

そこで彼の部屋にも、望遠鏡があったことを思い出す。

「ほら、見てみろよ。あの、青白く輝いてる星……」

『ごめん、どれも同じに見えるんだけど』

「いいか、スピカの見つけ方はこうだ。満月の斜め上に月光にも負けない木星があるだろう。その下にあるのがスピカだ」


 得意げに話す彼の言う通りに満月の斜め上を見ると、小さくも月の光に霞むことなく輝いている星を見つける。

あれが木星か。

 そしてそのさらに下には、青白く煌く星――目的のスピカだ。


『あ、あった! あったよ、宙くん!』


 私は宝物を見つけたかのようなはしゃぎっぷりで、宙くんに報告する。

まさか自分の星座の星があんなに美しいなんて、と興奮していた。

『あれが乙女座ねー。私、九月二十二日生まれなんだ』

「嘘だろ、俺も九月二十二日生まれの乙女座だぞ」

『ええっ、すごい偶然だね』


 同じ日に生まれた彼と、死んでから出会った。

それはもう偶然という言葉では片づけられないほど奇跡的な絆で、彼とは繋がっている気がする。


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