【短編】STARTー恋ver.ー
しばらく眺めてボーッとしていたら
いつの間にか時間が経っていて。
春が近付いていると言えどもまだ3月で。
夕方になると少し肌寒い。
ーーー帰るか。
そう思って、止めていた足を前に進めた。
と同時に、後ろから声が聞こえた。
『あの…これ、落としましたよ?』
柔らかな声が、風と共に耳に入ってくる。
振り返ってみると、サラサラのストレートヘアをなびかせながら微笑む女の子人が立っていた。
あまりにも綺麗で
あまりにも輝いて見えて。
俺は一瞬、彼女に気をとられた。
『大丈夫…?』
その言葉で我にかえる。
なに、固まってんだよ俺。