愛すべき彼女達 ~十人十色~
『お父さん、初めまして。
彩です。
洋介さんと結婚することになりました。
よろしくお願いします。』

お墓に手を合わせ、心の中でご挨拶をした。

洋ちゃんも……………随分長く会話してる。

洋ちゃんのお父さんは、心の病気で亡くなったと聞いた。

離れて生活していた洋ちゃんは、側に居なかったこと。

話を聞いてあげなかったことを、今でも後悔してるみたいで………

今は大変でも、探偵とお父さんの残したパン屋さんを両立している。

昨日、プロポーズされてから考えたことは。

来年度は、仕事を辞めてパン屋の奧さんになる!なの。

幼稚園の先生の時間は、ホントに楽しくて充実していた。

でもそれは、私一人では得られなかった時間だから。




次期園長になる悠人先生に恋をした。

なのに………

同期の唯ちゃんの片思いを応援して、自分の恋は諦めた。

もちろん、二人はお似合いで………それで良いって思っていたのに。

心の奥は違っていたみたいで………

苦しくなってしまったの。

一人で泣いて、心に折り合いをつけようとしたけれど。

やっぱり無理をすると、心は悲鳴をあげてしまって

自分でもどうしていいか分からなくなった。

そんな時支えてくれたのが………………洋ちゃん。

洋ちゃんが居なければ………

大切な唯ちゃんを傷つけてしまっていたはず。

今では、悠人先生を好きだったことがウソのように

洋ちゃん以外考えられないけど。
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