溺愛ホリック
元から人付き合いが苦手と言っていた柚子。



俺のせいで尚更友達できにくくなったろーな。



「柚子ちゃんナイトは助けに行かないの?」

「行かねぇよ」

「うわぁちっぽけな愛」

「お前に言われると思わなかった」



お前らの恋愛の方がよっぽどちっぽけだろ。



柚子との出会いはバイト中だった。



下見ながらなんか話してて、梓に用があると言っていた。



梓の妹にしては、暗くて頼んねぇ感じのやつ。



それからちょくちょく見かけるようになって、何度か会話も交わした。



『何組?』

『·····3組』

『ふーん』

『小田桐、くんは?』

『5組。·····豹でいい』

『豹、くん』



ほんのり赤くなった頬がリンゴみたいで。



柚子なのに、リンゴ。



俺にもその赤いのが伝染った。

< 10 / 178 >

この作品をシェア

pagetop