溺愛ホリック
柚子はとにかく鈍臭くて、すぐこけるしすぐつまづくし。



頭良くて勉強はできるくせに、どこか抜けてる。



『柚子ばあさん、足腰鍛えろよ』

『まだ若いもん·····』

『アザ何個作ってんだよ』

『すぐ消える·····』



ほっとけないって、思った。



そんな思いが強くなった、ある出来事があった。



柚子と梓の両親が事故で亡くなった。



それをきっかけに、柚子が少し明るくなった。



たぶん、梓を困らせたくなかったから。



『無理、すんなよ』

『してないよ?私、元気だし!』

『クマある。寝てんの?ちゃんと』

『豹くん、私の心配はいいから』



落ち込んでる素振りを1つも見せない柚子が、心配でたまらなかった。



そんなある日、梓に柚子を守って欲しいと頼まれ、断る理由なんてどこにもなかった。



柚子のことを俺が守りたい。



俺が、大切にしたい。



大事にしたい。



·····うん、たぶん、惚れてた。

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