溺愛ホリック
不謹慎だけど、柚子と長くいれる口実ができて素直に嬉しかった。



『お待たせ·····』

『遅い。バイト遅刻すんだけど』

『日直だから待たなくていいってメールしたのに待ってるって言うから·····』

『梓と約束したしな』

『そー、だね·····』



柚子と一緒にいたいなんて、言わなくても伝わってる気がしてた。



ま、気がしてただけで、柚子には1ミリも伝わってなかったみたいだけど。



柚子はなにを勘違いしてるのか、俺が梓のことを好きだと思っている。



なんでそうなるのか·····。



まったくわかんねぇけど、そういうのも含め誤解をとけと、昨日梓から電話を受けた。



まぁ放課後言うしかねぇなって思って、柚子に念押ししたつもりだけど·····。



「·····あいつ、」



放課後、帰りますってメール寄越しやがった。



先帰んなっつったろーが!



ブッチーン·····。



俺を避けるとは·····柚子のくせに·····。



生意気な柚子を追いかけて家まで走った。

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