悔しいけど好き
二人取り残され思わず見つめ合う。
「凪…」
「とっ、とにかく!実家にいる間は無理!兄さんたちに何言われるかわかったものじゃないんだから!帰るまで我慢して!」
「…わかった。帰ったら、覚悟しろよ凪」
「う…」
気を取り直したのかいつもの悪い顔でにやりと笑った鷹臣に背筋がぞくりと泡立つ。
なんか、やばいことになってないだろうか?
何だか帰るのが怖い気がする…。
お父さんたちはもう休んでいて居間には私と海里兄さんだけになった。
ゆったりと実家の広いお風呂を堪能し髪を乾かしていると、入れ替わりで入った鷹臣が出てきた。
海里兄さんに借りたTシャツとスウェット姿。
ちょっとスウェットの丈が足りないのが気になった。
「鷹臣って、海里兄さんとそんなに背は変わらないのに丈が短いわね?足が長いってことかしら」
「なんかムカつくな」
「え!?いやっ…そんなはずは…」
まだお酒を飲んでた海里兄さんに睨まれどうしていいか分からない鷹臣は足を隠すようにくすくす笑う私の隣に座った。
「鷹臣はさあ…」
「は、はい」
くいっとビールを飲んだ海里兄さんが剣呑な目で鷹臣に話しかけ鷹臣は畏まる。
私も海里兄さんが何を言い出すのか心配で固唾を飲んだ。
「本気で凪の事が好きなわけ?」
「好きです」