悔しいけど好き
即答する鷹臣を細目で睨みまたくいっとビールを飲む。

「じゃあ、周に約束したように幸せにしてやってくれよ。泣かせることがあったら俺が承知しないから覚えとけ」

「はい、もちろんです」

「海里兄さん…」

「分かってるならいいんだ。大事な妹だ、よろしく頼むよ。じゃ、風呂入って寝るわ」

力強く頷く鷹臣を満足そうな目で見やり立ち上がった海里兄さんは私の後ろを通るときにポンと撫でて出て行った。
らしくない海里兄さんの言葉に呆然としているとくすっと笑う鷹臣は私の頬に触れる。

「幸せにしないと兄さんに何されるか怖いな。責任重大だな俺」

「あ…うん。いつもはあんなこと言わないのに珍しい…」

「愛されてんな凪は。やっぱ兄弟でも妬けるな…」

「えっ!そこ妬くとこじゃないでしょ?」

「妬くんだよ、男はみんな敵だからな」

「えーーー」

鷹臣がこんなに嫉妬深いとは知らなかった。
妬いた顔が見たかったなんて思うのはやっぱり無謀だったかな…?
鷹臣を見れば真剣な眼差しで射抜かれるようでドキリとする。

「凪、本気で結婚したいと思ってるから。考えといて」

「え?本気で言ってる?」

「もちろん」

その場のノリで言ったんじゃないの?
今のは、プロポーズと捉えていいんだろうか?
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