悔しいけど好き
「う……噂をすれば…。叔母だよ、母さんの妹」

「叔母さん?」

つい有らぬことが頭を過った私はふっと力が抜ける。
ひょいっとスマホを取り上げた鷹臣は出もせずにプチっと電話を切ってしまった。

「出ないの?」

電車の中だからここで話すのは憚られるけどいいのだろうか?と聞くと「いいんだよ」と言ってるそばからまたスマホが震え出した。
それをまたプチっと切って憮然としてる鷹臣。

「ほ、ほんとにいいの?なにか用事があるんじゃない?」

「いいんだよ、どうせ母さんから聞いて凪の話しをしたいだけだから」

叔母さんは嫌いじゃないけどあのマシンガントークは疲れるんだよとふうっとため息をついた鷹臣に何て言っていいか苦笑いしかでない。
それでも震え続けるスマホが気になっていたら鷹臣は操作をし出す。

「ほら、やっぱり。疲れるから絶対叔母の電話は出ない」

そう言って見せられたスマホはまたメッセージアプリで見てるそばから次々メッセージが入ってくる。

[ちょっと!何で電話でないのよ!私がいないうちに彼女連れてきたってほんとなの!何でこの涼子さんに会わせないのよ!会いたかったわ!今度連れてくるときは絶対私を呼びなさいよ!あ~でもいいお見合い相手がいたのに紹介したかったわ!あ、でも彼女いるから結局断られるのか…って!結婚ってほんと?ちゃんとしたお嬢さんなんでしょうね?私が会って品定めしてあげるから!変な子だったら許さないわよ!あ~でも鷹臣が選んだ子なら間違いないか…とにかく会いたい!直ぐにスケジュールセッティングして!…………」

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