悔しいけど好き
延々と続いていきそうな勢いで届くメッセージにあんぐりとしてるとまだ震えてるスマホを取り上げた鷹臣は電源を切ってしまった。

「な?電話を出たら最後、メッセージよりも激しいマシンガントークが炸裂するんだ」

しょっちゅう実家に来て鷹臣を捕まえては喋り倒す叔母さんに辟易してるという鷹臣。
嫌いじゃないんだけどと念を押して困った顔をする。

「でも、叔母さん凪に興味津々だな。いずれは凪も会うことになるから覚悟しとけよ?」

「う…うん、頑張る…」

私はそれほどおしゃべりな方ではないのでついていけるかな?とちょっと心配。
それに品定めされるみたいで叔母さんのお眼鏡に叶うかそれも心配だ。

「あ、言っとくけど凪は何も心配いらないからな?叔母さんの持ってくる見合い話しも断ってるから。まあ凪と結婚するって言ったからそんな話しももう持って来ないだろ。やっと解放されるわ」

ホッとした顔をする鷹臣に「せっかくの出会いを断っちゃって…」と言いそうになったのをぐっと堪えた。
出会いはもういらない。
私と鷹臣は運命の相手なんだからと自分に言い聞かせる。

鷹臣を見ながらそんなことを思ってると視線に気付いた鷹臣が覗き混んでくる。

「お前、また良からぬこと考えてるだろ?」

「な!何よ良からぬことって…」

「見合いも出会いの場、って思ってるだろ?俺にとっちゃそんなものしがらみばっかで疲れるだけだ。それに俺はもう凪だけでいいんだから余計なことは考えるなよ?」

何でもお見通しの鷹臣に言い当てられ息を飲む。
でも、私だけでいいなんて嬉しいことを言われて私はその言葉を噛み締めながら頷いた。

< 271 / 325 >

この作品をシェア

pagetop