婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

「あ、あの、収穫祭。収穫祭のお手伝いで、今は夜叉王領にいるの」

「収穫祭?…あ、毎年夜叉王領でやってるでっかいうまいもの店?」

「う、うん。招待状も書かなきゃいけないし、大変みたいだから」

「ふーん…」



私の頭の中には収穫祭しかないんだろうか。まさかこんな嘘の理由に収穫祭を絡めるなんて。

先日のじゃがバターが余程印象強いらしい。あぁ…。

しかし、この場を取り繕ってはみたが、沙那ちゃんの疑惑の視線は消えない。

不信そうに私を見ながら次の質問をする。

「…でも、羅沙は正妃教育で竜王領にいるんでしょ。そんな最中にわざわざうまいもの店の手伝いなんてよく許可出たね」

「え、あ、う、うん」

わわわ。沙那ちゃんの目が鋭くなってきた。どうしよう…!



「…あ、沙那!」



だがそこへ、沙那ちゃんの気を逸らすかのように、私達のもとへやってきた人がいた。

この人…。



「おっ。蓮華じゃん。歌おつかれ」

「聞いてくれてたの?ありがとう」



だけど、現れた彼女の姿を視界に入れて、私の心はおもいっきり揺さぶられる。

急に逃げたい気持ちになった。
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