婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

でも、そんなことを思ったら…。



《しかし、何故竜王様は貴女を正妃として迎え入れたのか、理解に苦しみます》



…ダメでしょう?!



「羅沙!」



お兄様の声までもが背中の方角から小さく聞こえたが、そんなの構っている場合じゃない。

瞬く間に走り抜けて、玉座の間を出た。

急に私が飛び出してきて、先程の門番さんが体を震わせて驚きを見せていたが、その隙に潜り抜けて廊下に出る。



行く宛なんてない。どこに逃げよう。

そんな事考える間もないんだけども、走りながらもとある人物の顔がチラッと頭に過ぎる。



けど、世の中そんなに甘くない。



「…羅沙?」



行く手を阻む者は、大なり小なり。

…だが、こんなところで『大』の方がいきなり目の前に現れるとは思わず。



(…ああっ!嘘っ!)



逃げる私と正面から鉢合わせるかのように、曲がり角から姿を見せる。

その足を止めてしまい、後退りしてしまった。



まさか、こんなところで。

会いたくなかった…。



「…竜王様っ」







< 147 / 440 >

この作品をシェア

pagetop