婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
調子の良い不敵な笑みは、そのまま。
豹牙は進行方向に掌を突き出して翳すと、真っ正面に閃光が放たれる。
閃光は大きく術陣を描いていた。
あれは…転移術式の陣!
だが、私達を乗せた移動術式の陣は、その動きを止めることなく、むしろスピードが増しているような気がする。
このままじゃ、目の前の転移術式の陣にぶつかる!
「ひ、豹牙!」
「このまま一気に行くぜ!ワアアァァプッ!」
「…えぇっ!」
しかし、目の前の術陣に衝突することはなく、むしろ吸い込まれた。
カッと光った眩しい光に視界を奪われ、思わず顔を伏せる。
いったい、何処に着いちゃうの!
体に叩きつけるような風を堪えては、再び豹牙の体にしがみつく。
だが、距離を進むとやがて光は落ち着き、視界が開けてきた。
と、同時に術陣のスピードも緩やかになっていく。
恐る恐る目を開けると…そこは、まだ空中だった。先程のようにフワフワと浮いた術陣の上だ。
そして、真下に広がる景色を見下ろす。
「こ、ここは…!」