婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
…それが、あの将来有望な絶世の美男子の隣に立てるような女だろうか。
無い。絶対それは無い。
…相応しくない。
彼の隣にいる私を想像してみる。
だが、どう想像しても、どんな角度から考えても、あまりにも不釣り合いで泣けてくる。
私は…間違っていた。
(………)
手はカタカタと震え、手にしていた缶がパキパキと音を鳴らす。
悲しいのか悔しいのか、わからない感情で手に力が入ってしまい、手の缶はますます激しい音を鳴らしていた。
「…おぉっ!羅沙、それスチール缶だぞ?!片手で握り潰すとわ、この馬鹿力!…羅沙?」
「………」
手の震えと同時に、実は歯の奥も震えていて、さっきからガタガタと震えている。
悔しい、許せない。
こんなことに気付かなかったなんて。
人に言われて初めて気付くなんて。
これじゃ私、ただのばか娘、本当にワガママ娘じゃない…!
それに気付かず私は、なんて恥ずかしいことを…!
なのに、私はどう思ってた?
《想う人には、私だけを見て欲しい。それはいけないことなの?…私にはそんなの耐えられない!》