婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

…だから、神術が使えない分、剣技や持ち前の俊敏さと馬鹿力で強さを賄っていたけど。

人型、稀少種魔族の前では、神力無しは虫けらも同然。

到底、敵わない。

お兄様の後ろに隠れているしかないんだ。

でも…。



(でも、諦めたくない…)



…あの時の私も、そう思っていた。



(………)



…あの時?っていつ?



《羅沙、逃げなさい!》

《嫌です、お父様!……》



脳内の隅に忘れて置いてきた、記憶が…蘇る。



本陣に次々と乗り込んでくる、人型の魔族たち。

応戦し、次々と倒れていく仲間、騎士団の精鋭たち。



『羅沙、逃げなさい!…神力持ちではないおまえでは無理だ!』

『嫌です、お父様!神力無しでも足止めにはなれます!』

『何を言っている!娘を足止めになど!…少し辛抱すれば、夜迦や羅刹ら先遣隊が戻る!』



嫌です。戦に背を向けて逃げるなど、誰が出来ようものか。



神力無しだろうが、娘だろうが。

理由はどうであれ。

逃げることは許されない…!



強くなければ…力が無ければ、逃げるしかないのですか?
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