婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

豹牙の声でハッと我に返る。

…しまった!ぽめに気を取られて!



だが、気が付いた時にはもう遅い。

振り返った時には、すでに見上げるほどの大きな掌が伸びてくる。

手の主は、稀少種魔族。手の大きさ長さも自在に…!

逃げる間もなく、容易に大きな掌に捕らえられ、大きな指で体を握られ自由を奪われた。

大きな掌の握力で体が軋み、締め付ける痛みに襲われる。



「あああぁぁぁっ!」

「…握り潰してから吸収してやる!」



まずい。手も足も塞がれていて剣を振るえない。

逃がれる方法はないか。今までの経験の記憶を辿って探す。

私の体を握る掌にも魔力が流れていて、体が思うようにいかず、逃れようにも手足が動かない。

魔力に意識が持っていかれそう。急激に朦朧としてきた。



このままじゃ、殺される…!



(こんな時…)



…こんな時、私の戦の師匠であるお兄様ならどうするか、と考えたけど。

きっとお兄様なら、神術を使って脱出出来るだろう…と考えてしまったことに、とても切なくなった。

私には神術が使えない。

落ちこぼれの神族。
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