婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
だが、いつまでも呆けたり、あれこれ懺悔している場合じゃない。
羅沙を探さなくては…!
燃え滾る炎の中を隈なく探していると、その中から微かに声が聞こえてきた。
「おぉーい、おおぉぉい!竜王ぉぉーっ!」
紅の炎の海の中、その上空にいる俺に向かって、呼び掛けながら手を振っている野郎がいる。
天帝の弟君である天王、豹牙だ。
普段は飄々として脳天気な男も、この状況には流石に焦りを見せていたが。
飛竜を低空飛行させ近付く俺に、ヤツの方から真顔で一言問う。
「いったい何が起こった?」
この男は…。
「…それは後から駆け付けた俺のセリフなんだけど」
「だってよ?羅沙が稀少種に捕まったと思ったら、羅沙からあの紅い炎が出てきて、あっという間に稀少種を焼き尽くしたんだよ!で、俺がやっつけよ思ってた女型にも炎が飛び火してきて…この有り様。山火事」
「羅沙は…羅沙は?!」
「この火の海だぞ?わかんね」
「…何だって?!」
わかんね。…なんて無責任な輩だ!
こんな無責任男が、羅沙の一番近くにいる親友とか、ない。無いんだけど!