婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

けど、そんな事言われなくても、俺としてはアプローチを仕掛けているつもりではあった。

善見城の公務の帰りには、必ず夜叉王領に立ち寄って、手土産持参で会いに行く。

手土産攻撃には毎回喜んでくれるんだけど、俺の押しが足りないのか、イマイチ手応えがない。

羅沙は…純粋無垢、子供なのだ。

恐らく、恋愛感情が何たるかをまだわかっていない。もうすぐで成人を迎えるというのに。

でも、そこが羅沙の良いところだし、これから大人になる。

こうして顔を見せて、着実に…と、呑気に考えていた。

…羅沙が成人の日を迎える、お披露目の場となった夜会、その日までは。

ドレス姿、綺麗だったなーとか、成人になったから解禁、もう結婚申し込めるよなーとか。



しかし、そんな呑気なことを言ってられない事態となった。





『羅沙に縁談…?!』




羅沙のデビュタントともいえる夜会から、三日程経ったある日。

いつものように、夜叉王領に顔を出し、『もう成人なったよね。そろそろ結婚させて』と、いつものくだりを始めた、その時。

夜叉王からとんでもないことを聞かされる。
< 379 / 440 >

この作品をシェア

pagetop