婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
けど、そんな事言われなくても、俺としてはアプローチを仕掛けているつもりではあった。
善見城の公務の帰りには、必ず夜叉王領に立ち寄って、手土産持参で会いに行く。
手土産攻撃には毎回喜んでくれるんだけど、俺の押しが足りないのか、イマイチ手応えがない。
羅沙は…純粋無垢、子供なのだ。
恐らく、恋愛感情が何たるかをまだわかっていない。もうすぐで成人を迎えるというのに。
でも、そこが羅沙の良いところだし、これから大人になる。
こうして顔を見せて、着実に…と、呑気に考えていた。
…羅沙が成人の日を迎える、お披露目の場となった夜会、その日までは。
ドレス姿、綺麗だったなーとか、成人になったから解禁、もう結婚申し込めるよなーとか。
しかし、そんな呑気なことを言ってられない事態となった。
『羅沙に縁談…?!』
羅沙のデビュタントともいえる夜会から、三日程経ったある日。
いつものように、夜叉王領に顔を出し、『もう成人なったよね。そろそろ結婚させて』と、いつものくだりを始めた、その時。
夜叉王からとんでもないことを聞かされる。