婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
そう言って、夜叉王はその詳細の紙を二枚、俺の前に差し出す。
それに目を通した俺は、その内容に驚愕するしかなかった。
『広目天様の三男との縁談と…善見城への出仕?!先天妃舎脂様の御付きって…』
無視出来ない縁談とは。
俺の直属上司、西方将軍・広目天様の息子との縁談。
あと、この出仕とやらは、要するに善見城に身を移して、先帝・帝釈天様の奥様である舎脂様の侍女になれ、と…!
夜叉王の直属上司、毘沙門天様ならわかるけど、なぜそんなに縁のない広目天様から?…あの、耄碌オヤジ!
舎脂様の侍女?これ、女性としては大出世に繋がる話…何故、羅沙にそんな?
自分らより位のお高い御方からのお誘い。こりゃ無視出来ない。
…だけじゃ、なさそうだ。
無表情に眉間を寄せるのみの、微妙な表情の夜叉王は、ボソッと口を開く。
『…鬼子母神が、死んだ』
『え?』
『同時に、黒闇天女が動き出した』
『な…!』
…やはり、何かが起こる予測だったのかもしれない。