婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

…あぁ、私のあほ。

これじゃあ、ただ竜王様の邪魔をしただけ。



いや、私だってそこで「わかったよ!婚約解消しよう!」という返事がすぐに欲しかったわけじゃない。

衝動的ではあるが、自分の気持ちを素直に言いたかっただけで。

しかし結果、ただの意味のわからない怪しい人になっただけだった。

あぁ…落ち着いて考えてみると、わかりきったことなんだけど。



…だけれども。



(……)



二人で寄り添って立っている姿を、こんな近くで目の当たりにしてしまい、胸の中では黒い感情がモヤモヤとしている。

他の人を見ないで。…何度願っただろう。

それでも、顔を見合わせて笑顔で話をしている二人の姿を目にした私は…決意したのだった。



もう、無理だ。




それから神術騎士団は間もなく出立の時を迎える。

見送りの大歓声の中、私だけ時が止まったのように、ただただ立ち尽くすしかなかった。

出立のお見送りを終え、大広間からは少しずつ人が捌けて、人の流れが戻りつつあっても。

私はただ、立ち尽くしていた。

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