婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

混乱であたふたしながら、みんなの顔を順番に見てしまう。

私、天帝様にお会いしたのは一度だけ。成人して初めての夜会の際、お兄様が付き添いしてくれながら挨拶しに行ったのみ。

『わぁー!夜叉王にそっくりで美人だねー!』と、その他形式的な有難いお言葉を頂戴した。

そんなご挨拶しかしたことない御方から…!



「わ、わ、私っ!天帝様に御用事ないんだけど!」

「そりゃ羅沙様がそう簡単に天帝様に御用事あっては困りますけど」

「わ、わかってるよー!でも、何で天帝様が私に!」

「それは…何故でしょうか」

凪や豪鬼たちとみんなで「うーん…」と、考える。それを無表情でお兄様が見守るという図になっている。え?お兄様、一緒に考えてくれてない。なんて薄情な…!



すると、豪鬼が「あ」と声を出す。



「羅沙、おまえあれじゃね?…竜族神術騎士団の馬、掻っ払ったからじゃねえの?」

「へ…?」

「無断で竜宮を飛び出し馬を盗んだ挙げ句、竜族神術騎士団正規品の腹帯売っ払うし、果物泥棒したし…だから、竜族怒ってんじゃね?」



怒ってんじゃね?って、軽っ。



…いやいや。

え?それ、罪なの?…いや、罪だね。

窃盗二件に、転売…!
< 69 / 440 >

この作品をシェア

pagetop