婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「あなた、ほどほどにしないと明日起きれませんよ?」
「わかってるわかってる」
毘沙門天様は悪そうに笑って奥様の忠告を避わす。お兄様の肩を抱き、私達女性陣に「おやすみ」と手を振った。
そうして、二人は奥の部屋へと姿を消していく。これから晩酌の会ですか。大人ですね。しかし、お兄様はお酒が強いので、毘沙門天様大丈夫だろうか。
吉祥天様と女二人、男二人の消え行く姿を見守る。
「じゃあ…私達も寝る前にお茶、しましょうか?」
「え!」
吉祥天様にそう提案されて、私も別室へと案内される。夜空と先程のラベンダー畑が一望できるぐらい大きな窓がある部屋だった。
「安眠を促すための軽い一杯よ?」
そう言われて出てきたのが、ホカホカと湯気を立てた白い液体…牛乳?
というには、軽く茶の色も付いていて、湯気に乗って香りがふっと鼻を掠める。
「ラベンダーのハーブミルクティーよ?うちで採れたラベンダーの。うふふ」
「はーぶ?」
「薬膳茶ね。ラベンダーって安眠効果あるのよ?蜂蜜も入れてるし、飲みやすいわよ?」
そう説明しながら吉祥天様はニコッと笑いかけてくる。