恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
曲がり角が来た時には俺は死ぬ思いで手を離した。
杏がちょっとほっとしてそうだったのがちょっとショックだったりする。

「あ、迫田さんって碧斗の元カノだよね。こんな形になってもよかったの?」

曲がり角を曲がって歩きながら、杏が言う。

「あ?だからそれは今言ったように、もともと好きじゃなかったって…。」

「そ、そうなの?好きじゃないのにつきあうの?」

杏が不思議そうに俺を見ている。

「あ…まぁつきあってっていわれたし…」

もともとは杏がいじめられないためにやったことなんだもん。仕方ねぇ。
迫田なんて好きじゃないどころか嫌いな女ナンバーワンだっての。

「ふうん。」

遠いところを眺めながら杏がつぶやいてる。

「そんなもんかぁ…」

こいつ…もしかして…?

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