恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
ただ…杏の手の震えが収まっていたから…それはほんとによかったなって…思った。

「いつでも助けてやるよ。」

「ありがとう。」

俺の前に杏の笑顔が戻ってきただけでも…いっか…。

俺はさりげなく、杏の手をひっぱり、その場からもとの場所へゆっくりと歩き始めた。

「碧斗…手…もう。大丈夫だよ!」

杏がちょっと焦って手を離そうとした。

「え?けど、まだ震えてる。」

ウソだけど…

「え?ほんと?」

「うん。だから。みんなのとこ行くまでつないでてやる。そこまがるとこまでな。」

「うん。」

ちょっとばかし顔をあからめた杏に少々の満足感…。

ただ、ほんとに久しぶりににぎった杏の手を離したくなかっただけ…。

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