恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
「君はバイクの暴走に巻き込まれながらも、左足首の捻挫という軽傷にすんでよかったと思うべきだな。」
「はぁ…」
「他のところは異常なし。頭もCTとって検査したからね。念のため明日の朝まで入院して異常なければ…帰りなさい。あとは通いで治そう。」
「はい。」
そして…お医者さんと恵美子おばさんは、そのまま部屋から出て行き、変わりに碧斗が戻ってきた。
「よかったな。杏。ほんっとに…どうなることかと…俺は…生きた心地しなかったぞ。」
そう言って、わたしの横の椅子に座り、下を向いてしまった碧斗が、なんか…もしかして泣いてるんじゃないかって…思って…
思わず…
碧斗の手を握った。
「碧斗…。ありがとう。」
「え?」
碧斗が顔を上げた。やっぱりちょっと瞳が濡れてる…気がした。
わたしなんかのために泣いてくれたの?碧斗…。
「幼馴染だし…わたしのことそんなに思ってくれて…るんだよね…嬉しい…。」
「え?」
碧斗の顔がちょっとムッとした…
え?ちがうの?
「違うぞ。杏。俺はお前が幼馴染だから、こんなに心配したんじゃない。俺は…」
え?どういう?
「俺は…」