恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
「おう。杏。」
手をあげるけど、その女子とそれでも楽しそうに話してて…わたしのことなんか…どうでもよさげな…
綺麗な…サラサラの長い髪と…何か思いを秘めたかのような決意の固い黒い瞳をもった綺麗な…人…
わたしはなんだか、放置されてるかのような感覚に陥った。
碧斗に…今まで…下僕扱いされてたときですら…放置されてるような感覚になったことは…ない。
そのうち…その女子は図書館の中に何か用事があったのか…手を振って中に入って行った。
その女子はわたしのことは一度も見なかった。
そっか…
わたしがここにいないみたいに…
この2人だけしかいないみたいに…
2人の世界に…入ってるみたいに…
楽しそう…だった…。
「杏。待たせたな。行くぞ。貸せよ。」
碧斗がわたしのところにやってくると、いつも通りで…全然変わらなくって…
「碧斗…」
思わず呼んでしまった。