恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
「お父さんのお母さん。つまり、杏のおばあちゃんと葉子が折り合わなかったからなんだ。」

「え?」

「俺たちが離婚した原因だよ。」

「おばあちゃん。わたし…ほとんど…知らない…」

「だろうな。俺もかなり怒って埼玉を飛び出してきたからな。離婚した後はおばあちゃんとはほとんど会ってないよ。」

おじさんは俺が入れたコーヒーを飲んだ。

「最初杏が生まれたときは埼玉で実家近くに住んでいたんだ。けどとにかく葉子のことを嫌って散々罵っていたらしくて、俺は通勤に時間もかかったし朝早くから東京に出て遅くまで働いてるから全く知らなかった。それで葉子がもう我慢できなくなって、離婚届を書いて飛び出した。俺は怒って杏と一緒に埼玉を飛び出した。」

「そう…だったんだ。」

「だから、お互い嫌いになったんじゃないんだよ。こっちにきてから何度も葉子には連絡取ったんだけど…わたしは、一度あなたと杏を捨てた人間だから…戻るってことは人間としてゆるされることじゃないって…」

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