恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!


「なかなかいろいろなことがあった日だったな。今日は。」

めずらしく、杏の食後の後片付けを手伝ってる俺。
こんなこと…したことねぇなと思う。
けど…杏と話していたかったし…たまにはいいかなって思った。

最初フキンをもって食器を手に取ったとき、杏はびっくりしたみたいだったけど…

「そうだよ。疲れた…」

「ああ。でもまあよかったな。これで堂々と行けんじゃん。母親んとこ。」

「うん。碧斗が助けてくれたおかげ。ありがとう。」

ニコッと笑う杏にドキッとする。

「きょうだい…だね。」

「え?ああ。」

そうだった。おんなじ家に住むんだった。

やれんのか?俺?ちゃんと。

杏ときょうだいなんて…

「碧斗と…ずっと一緒なんだ…」

「え?」

「もう…わざわざベランダ通らなくてもいいから…いいね。」

杏は下向いたままお皿洗ってて…表情は見えなくて…
けど…けど…そんなこと言われたら…

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