恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
俺の目をまっすぐ見る杏なんて…何年ぶりなんだろ。

そう…そうだ。俺…バカだ。
ほんとに杏がこんなに俺をマジマジとまっすぐ見てくれたのは小6以来だってことにそのとき気づいた。

やっと…杏が俺を昔みたいに1人の人間として、見てくれた気がした。

杏にとって、小6以降の俺は、自分を下僕扱いする恐怖のご主人様以外の何者でもなく、ってことは、結局杏から見たら俺は対等の立場じゃないから、恋愛感情なんて抱くわけもない。
ただの恐怖の対象でしかなかったわけで…

だからキスされたって、俺の愛情表現なんて思うはずもない…
からかっていじめてるだけだと思ってるはずだ。
おそらく、杏のファーストキスをあんな形で奪われて泣きそうにだったに違いなかった。

けど…俺は本気だったんだよ。杏。
俺の気持ち…わかってくれよ。

「ほんとに?そう思ってるの?碧斗?」

「ああ。わるかったって…思ってる。本気で杏を下僕だなんて思ってるわけじゃない。ほんとは、昔みたいに一緒に笑って…過ごしたいよ。」

「碧斗…信じていい?」

杏が俺をまっすぐ見つめた。
杏の視線をまともに受けられることが嬉しかった。

「ああ。誓うよ。だから…正直に言えよ。テスト…どうだったんだよ?」

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