最愛なる妻へ~皇帝陛下は新妻への愛欲を抑えきれない~
 
「ナタリア」

彼の呼びかける声が、どこか遠くに聞こえる。体が熱くて、鼓動がうるさくて、頭がぼんやりとしてきた。

ふと、窓が風に揺れる音が聞こえた気がした。

(きっと、外は雪風が吹いているわ――)

刹那。意識がイヴァンから逸れた瞬間、ナタリアの思考が薄いベールに包まれていく。

閉じていた瞼をゆっくりと開くと、そこは白銀の世界だった。
 
 
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