同期が今日から旦那様!?〜そこに愛は必要ですか?〜
シュンと俯く私は、結局何も言えなくなってしまう。
ふいに腕が伸びてきて、藤堂君は私をぎゅっと抱き寄せた。
私の肩に顔をくっつけるように寄せると、ぐりぐりと猫のように押し付ける。
腕の中ですっぽりとおさまってしまった私の後ろに両手を合わせ、ぎゅうぎゅうと抱きしめ続ける。
「はぁ~・・・突然いなくなるなよ・・・」
珍しく丁寧じゃない口調でそう言って、抱きしめる力をさらに増す。
「藤堂君・・・苦しい・・・」
力が強すぎて抱きしめられながら圧死しそう。
私の涙目の訴えに、
「反省しました?」
といたずらっぽく見下ろす視線は、何となく色っぽい。
「うん、だから力、弱めて」
すっと弱められた抱擁に急いで空気を吸い込む。
息が出来なくて倒れるかと思った。
「気になっていたことがあるんです」
私を腕の中に閉じ込めたままで、藤堂君がまじめに話し始める。
「何?」
「いつまで僕の事を藤堂さんと呼ぶ気ですか。」
「ん?」
「あなたも藤堂になったんですよ」
「でも、藤堂君も私の事を橘さんって呼んでるわよ?」
「・・・そうですね、変ですよね」
「あ~変だね」
「ですよね」
考えてみたらおかしい。
藤堂に自分もなったのに旦那様の事を「藤堂君」と呼ぶ私も。
結婚して藤堂になった私を「橘さん」ってよぶ藤堂君も。
全然、夫婦な感じじゃない。
「変なの」
思わず笑ってしまう。
ぎくしゃくした結婚生活の始まりって感じで、何だか笑えてくる。
結婚したって事は、そういう事でもあるんだよね。
相手の名字になって、一緒の名字の下に名前を連ねる。
「じゃあ、今から僕は乃亜って呼びますから、乃亜は僕を優と呼んで下さい」
「え!?」
「何か不満でも?」
「いや、不満は・・・無いけど」
名前を呼ぶって改めて言われると、妙に恥ずかしくない?
しかも、藤堂君の事、そんな風に呼んだことないから余計に恥ずかしい。
藤堂君はさらっと「乃亜」って呼んだけど。
「呼んでみてください」
「いま!?」
「はい」
何だか期待した顔して私を見てる気がするのは、気のせい?
「ゆ・・・優」
「はい」
さっきまでの怒った感じじゃなくて、どこか満足げな返事を返す藤堂君は私の頬に手を伸ばしてそっと撫でる。
「私の頬、撫でるの好きなの?」
「あぁ、気が付くと触れてしまうんです。嫌でしたか?」
「嫌じゃ・・・ないけど」
むしろ好きなくらいだけど。
なんか恥ずかしいからそれは言わないでおこう。
「さあ、帰りますよ。荷物は僕も手伝いますから土曜日まで待ってください。業者の方には運ぶのを手伝ってもらうようにしますから」
「うん、分かった」
ひと段落付いた段ボールの山を部屋の中に残して、私は藤堂君、あ、優と一緒に彼のマンションンに向かう。
「帰り、スーパーで何か買って帰りましょうか」
「そうだね」
なんて他愛のない会話をしながら。
ふいに腕が伸びてきて、藤堂君は私をぎゅっと抱き寄せた。
私の肩に顔をくっつけるように寄せると、ぐりぐりと猫のように押し付ける。
腕の中ですっぽりとおさまってしまった私の後ろに両手を合わせ、ぎゅうぎゅうと抱きしめ続ける。
「はぁ~・・・突然いなくなるなよ・・・」
珍しく丁寧じゃない口調でそう言って、抱きしめる力をさらに増す。
「藤堂君・・・苦しい・・・」
力が強すぎて抱きしめられながら圧死しそう。
私の涙目の訴えに、
「反省しました?」
といたずらっぽく見下ろす視線は、何となく色っぽい。
「うん、だから力、弱めて」
すっと弱められた抱擁に急いで空気を吸い込む。
息が出来なくて倒れるかと思った。
「気になっていたことがあるんです」
私を腕の中に閉じ込めたままで、藤堂君がまじめに話し始める。
「何?」
「いつまで僕の事を藤堂さんと呼ぶ気ですか。」
「ん?」
「あなたも藤堂になったんですよ」
「でも、藤堂君も私の事を橘さんって呼んでるわよ?」
「・・・そうですね、変ですよね」
「あ~変だね」
「ですよね」
考えてみたらおかしい。
藤堂に自分もなったのに旦那様の事を「藤堂君」と呼ぶ私も。
結婚して藤堂になった私を「橘さん」ってよぶ藤堂君も。
全然、夫婦な感じじゃない。
「変なの」
思わず笑ってしまう。
ぎくしゃくした結婚生活の始まりって感じで、何だか笑えてくる。
結婚したって事は、そういう事でもあるんだよね。
相手の名字になって、一緒の名字の下に名前を連ねる。
「じゃあ、今から僕は乃亜って呼びますから、乃亜は僕を優と呼んで下さい」
「え!?」
「何か不満でも?」
「いや、不満は・・・無いけど」
名前を呼ぶって改めて言われると、妙に恥ずかしくない?
しかも、藤堂君の事、そんな風に呼んだことないから余計に恥ずかしい。
藤堂君はさらっと「乃亜」って呼んだけど。
「呼んでみてください」
「いま!?」
「はい」
何だか期待した顔して私を見てる気がするのは、気のせい?
「ゆ・・・優」
「はい」
さっきまでの怒った感じじゃなくて、どこか満足げな返事を返す藤堂君は私の頬に手を伸ばしてそっと撫でる。
「私の頬、撫でるの好きなの?」
「あぁ、気が付くと触れてしまうんです。嫌でしたか?」
「嫌じゃ・・・ないけど」
むしろ好きなくらいだけど。
なんか恥ずかしいからそれは言わないでおこう。
「さあ、帰りますよ。荷物は僕も手伝いますから土曜日まで待ってください。業者の方には運ぶのを手伝ってもらうようにしますから」
「うん、分かった」
ひと段落付いた段ボールの山を部屋の中に残して、私は藤堂君、あ、優と一緒に彼のマンションンに向かう。
「帰り、スーパーで何か買って帰りましょうか」
「そうだね」
なんて他愛のない会話をしながら。
