同期が今日から旦那様!?〜そこに愛は必要ですか?〜
なんで私がこんな思いをしなくちゃいけないんだろう・・・。

私が何をしたって言うのよ。

腹が立ちすぎて涙が出そうだった。
でも、泣きたくない。
惨めすぎる・・・。

「分かったわ。じゃあ」

それだけ言って私はカフェを出た。
お金を払う頃には涙がすぐそこまで来ていた。
カフェのマスターらしいおじさんが心配そうに視線をよこすのが申し訳なくて

「大丈夫ですから」

なんて強がりを言ってしまう。
何が大丈夫なのか。
崩壊寸前の涙腺を必死で守りながら、足早に店を後にする。

そのあとはどうやって家に帰ってきたのか覚えていない。
気が付けばリビングのソファーにうずくまっていた。
真っ暗な部屋の中に、響くのは私の嗚咽と鳴り響くスマホの着信音。

画面に表示される名前を見て、ますます涙が溢れる。

【おばあちゃん】


両親が交通事故で亡くなってから、私を育ててくれたおばあちゃん。
結婚するよって連絡したのは二日前。
すごく喜んでくれたのに。
ダメになったとはすぐには言えない・・・。
そんな気持ちでスマホを眺めていたら、着信音は止まった。
今、電話に出てもきちんと話せる自信がない。
ごめんね、おばあちゃん・・・気持ちの整理がついたらちゃんと話すから。
今は、ちょっとダメみたい・・・。


頭が痛くなるくらい泣いても涙は枯れることなくて、体中の水分が全部抜けてしまうんじゃないかってくらい泣いたけど、私は干からびることなく、ただただ腫れぼったい瞼と泣きすぎた後遺症の頭痛が残っただけだった。




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