エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「そうなのね。スマホって難しいわ。お嬢さん、ありがとう」
この笑顔、誰かに似てるなあ。
電子決済がうまくいき、コンビニ袋に入れられたチョコを持ったおばあちゃんは、初めてお使いをした子供のようにどこか誇らしげだ。
「ふふ。一度電子マネーで買い物してみたかったの。いろいろ勉強になったわ。これ、ちょっとだけどお礼ですよ」
おばあちゃんはコンビニ袋からチョコを一粒取り出して私の手に握らせる。
「え?いいんですか?」
驚いて聞き返したら、おばあちゃんは小さく頬を緩めた。
「気持ちだけだから」
ここで断るのも悪いよね。
「ありがとうございます」と素直に礼を言うと、スーツ姿の男性が慌てた様子でやってきて、おばあちゃんに声をかけた。
「華子さま、勝手にいなくなられては困ります」
「ごめんなさい。どうしても電子マネーでお買い物がしたかったのよ」
< 143 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop