エリート弁護士は独占愛を刻み込む
コートを羽織り、バッグを持つと、正一さんに挨拶した。
「それじゃあ私はこれで失礼します」
「お疲れさま」
彼が笑顔で挨拶を返すと、オフィスを出てエレベーターに向かう。
そこでちょうど客先から戻って来た晶さんに出くわした。
「あら、葵ちゃん、今日は早いのね」
「うちに荷物が届くらしくって」
にこやかにそう返したら、晶さんが意味がわからなかったのか小さく首を傾げた。
「ん?うち?」
あっ……会社って思われたか。
「あの、恭吾さんのマンションにです」
慌てて苦笑いしながら言い直す私を見て晶さんは優しく微笑んだ。
「ふふ。いい傾向。恭ちゃんのマンションが自分の家って思えるなら、そこで幸せだってこと。葵ちゃんは、今日どうして恭ちゃんが外出したか知ってる?」
晶さんは急に真剣な表情になり、私をじっと見る。
「いえ……詳しいことはなにも聞いてません」
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