エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「き、恭吾さんでも引きます!そういうのは恋人にしてください!セクハラで訴えますよ」
狼狽えながらも恭吾さんをキッと睨みつければ、彼は不敵の笑みを浮かべた。
「俺に法廷で勝てると思う?無理だよ。まあ、法廷で戦う前に、裁判所が葵の訴えを退けるだろうね。一緒に住ん……!?」
「わー、わー、ぎゃー!」
同居をまたバラそうとする恭吾さんの口を慌てて押さえたら、正一さんが目をパチクリさせる。
「葵さん、どうしたんですか?」
「あの……変な虫が飛んでて恭吾さんの口に入りそうだったから」
恭吾さんの口を押さえたまま答えたら、正一さんはオフィスの中をゆっくりと見回した。
「どっかから入ってきたのかなあ。えーと、殺虫剤どこだっけ?」
戸棚を開けて殺虫剤を探す正一さん。
とりあえず彼の注意が他に逸れてホッとするが、面白そうに私を見ている恭吾さんと目が合った。
「葵、隠し事っていつかバレるものだよ」
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