特別な夜に魔法を
「キャサリンはハリーと行くんでしょ?」

エリカがキャサリンに訊ねる。まだキャサリンは誘われていないが、去年のサバトもハリーとデートした。

「でも、私のタイプとは違うのよね。どうして好きになったのかわからない。私の好きなタイプは英国紳士なのに……」

キャサリンは何度もハリーに告白され、付き合うことになった。ハリーは英国紳士とはかけ離れた甘えん坊でどこか抜けている。おまけにキス魔だ。

「まあ、いいじゃない。大切なのはハリーを好きな気持ちだし」

みずきが笑い、キャサリンも笑う。ハリーに振り回されてばかりだが、好きなことに変わりはないのだ。

「キャサリン!ここにいたんだ!」

ティータイムを楽しむキャサリンたちのもとに、噂をすればハリーが手を振ってやって来た。みずきたちは「彼氏じゃない!」と目を輝かせる。

「ねえ、ちょっと来て〜」

座っていたキャサリンの手を引き、ハリーはキャサリンを中庭から連れ出す。突然こんな風に甘えられることは多いので、キャサリンは驚いたりしない。
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