Dangerous boy
私は驚いて、口が開けっ放しになった。

「心ちゃん、本当に俺じゃないと思ってたの?」

「す、すみません。」

だって、尚太君が小さい時から付き合っているって言うのに、全然結婚しないから、もうしないものだと思っていた。

「……おめでとうございます。」

「有難う、心ちゃん。」

紗和子さんは、幸せそうな顔をしていた。

「これでやっと、小暮さんが尚太君の父親になるのね。」

「ばーか。いらないよ、父親なんて。」

私の言葉に、尚太君は顔を赤くして答える。

そんな尚太君を、小暮さんと紗和子さんが、温かく見守っている。


きっと、今までもそうだった。

これが、この3人の形なのかもしれない。


「それじゃあ、私達行くね。」

「おう。」

「心ちゃん、ごゆっくり。」

「はい。」

私は紗和子さんに手を振った。

二人はゆっくりと、病院の中へ消えて行った。
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