Dangerous boy
「何が美味しいの?この店。」

メニュー表を見ながら、少年のようにキラキラした目をする部長。

「……何でも、美味しいです。」

「倉本は、何にするの?」

「私はいつも、魚介のパスタを。」

「よし!お姉さん!」

部長は近くにいた、ウェイトレスさんを呼んだ。

「魚介のパスタを、2つ下さい。」

「畏まりました。」


ウェイトレスさんが行った後に、部長は窓の外を見ながら、ボソッと呟いた。

「……駄目だったか。」

その呟きが、やけに低くて、私の胸に突き刺さった。

「すみません!本当にすみません!!」

「いや、いいよ。」

「だって……」

「だって?じゃあ、お詫びに俺の彼女になってくれる?」

私は、顔を上げた。


「そうじゃないんだろ?だったら、必要以上に自分を責めないでくれ。」

部長、厳しい顔してる。

でもそれは、怒ってる訳じゃなくて、この笑えない状況のせいであって。
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