完璧美女の欠けてるパーツ

「大志さんは、何人と経験ありますか?」
「え……ええっ?」
かなりうろたえて、大志は変な声になっていた。

「ひとり……とかより、ふたりとか……もっと多いでしょうね」
「えっ、まぁ、そうですね」
「キスもしたんですよね」
「……はい」
「舌は絡めましたか?」
「えっ?梨乃さんどうしたんです?」
「なんでもないです」
知らないうちに涙がポロポロ流れてしまう。
うらやましい、彼に抱きしめられてキスされた女性がうらやましい。いやだ、どうして泣いてしまうんだろう。突然の感情に梨乃は自分で驚いていた。

「梨乃さん?」
「ごめんなさい。すいません」
深呼吸して落ち着こうと思ったら、いきなり大志が梨乃の手を握ってきた。
強い力でしっかり握る。
そしてメガネの奥の綺麗な瞳で梨乃を捕えた。

「梨乃さん、必ず僕が見つけます」
「大志さん」
「舌を絡めるキスも、ベッドの上で突き飛ばされても怒らないような男を捜します。極上の男を捜します」

違う……そうじゃなくて。

「最初の目的を忘れず、頑張りましょう。僕は最後まで梨乃さんの味方で応援します」
「大志さんと私は最強のチームですね」

梨乃が笑うと大志も笑う。

だから
笑っていよう。
彼に嫌われたくないから、ずっと傍にいたいから。
彼と私はただの仲間なんだから……。
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