完璧美女の欠けてるパーツ


12月になってしまった……。

デスクの上でスノードームが梨乃を見守っている。
可愛いな。
チョンと指先で触るとパワーがもらえて元気になる。

レストランで涙を見せてから、もう絶対泣かないと梨乃は決めた。
梨乃は自分の気持ちと向き合って、大志の事が好きなんだと自分で認めた。

彼の事を考えると幸せ気分が止まらない。
大好きだけど、彼は私に最高の相手を探している。それも私のワガママで巻きこんでしまったから、今ここで『あなたが好きです』なんて言えない。そんなことを言えばきっと彼は私の目の前から消えてしまうから。
彼は私をそんな対象で見てないから……。

梨乃はそんな複雑な想いで毎日を過ごす。

12月に入ると大志の忙しさに磨きがかかり、作戦会議も時間がとれない。
それでもLINEをこまめにくれて、独身男子情報を梨乃に流してくれていた。

そして
彼の願いが神様に届いたのか

ある日の帰り


「森田梨乃さん?」

28階のエレベーターの前

急に梨乃の目の前にひとりの男性が現れた。


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