完璧美女の欠けてるパーツ
「ですよね」
「梨乃さん、お酒のペースが早いですよ」
「おめでたい話なのでいいんです」
私酔わないし……と、言葉を続けたかったけど、あまりにも可愛くないのでそれは止めた。
「そうですね、おめでたい話です。話を聞くと、優しそうな方ですね。幸せになって下さい」
「グイグイ引っ張ってくれそうです」
「それは男らしい」
「大志さんと違って男らしいです」
「痛いとこ突かれた」
ネクタイをゆるめて苦笑いする大志の頬に、梨乃は触れてみたくなる。
「あと数回デートして、クリスマスの夜を過ごしてミッション完了します」
「それからが始まりです。応援します、頑張って下さい」
「本当ですか?」
ジッと梨乃が大志の目を見ると、また目をそらされてしまい寂しく思う。
「あと……何か不安はありますか?」
目だけじゃなくて質問もそらされた。これが仕事なら鋭く突っ込むのにと、梨乃は残念に思いながらインターホンを鳴らして日本酒を追加した。