煙草未満。―唇を塞ぎたくて―



苦い煙草の匂い。また彼の唇を埋めた。

……煙草未満の関係。依存性はなくて、苦味もそこそこ。たまに甘かったり。

唇を塞げるほどの距離感にはなくて。

……塞ぎたい、なんて。



「余裕ないから」



ぷかぷか。白い息が揺れる。

先生と生徒以上の関係。

甘くて、ちょっぴり苦くて。



「さっき、由梨花のことをこどもって言ったら、距離を感じた。だから?」

……なんで、疑問形なの。その無気力さに、目眩がする。

「わかんね。……でも、なんか……モヤモヤしたんだよね」



壮大な空を眺める彼の背中がおっきくて、空に比べたら全然小さくて。


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