煙草未満。―唇を塞ぎたくて―
「いま、ちゃんと朔宮って呼べたじゃん」
「呼ぼうと思えばそりゃ呼べるけど。……でも、しっくりこないから、1回目はカタコト」
「……じゃあ、2回目はなんでしっかり呼ぼうと思ったの」
普段は無気力な、くせに。
「……名前、ちゃんと覚えてるよ」
手すりに頬杖をつき、私のいない方の斜め下をみた、先生。
「的な?」
ぱっとこっちをみた時の表情は、いつも通りの不機嫌全開で、眉間のシワすごくて、くそ教師。
……ちょっと、ドキドキ……的な。