愛というもの~哀しみの中で~
「あの状況で疑うなってほうが無理だ。アイツ俺と茉莉を別れさせて自分と付き合うように仕向けたかったって言ってた…もうアイツらとは会わないし遊ばない。」

気づけば向かいに座ってた2人も静かになってて私たちの会話を聞いていた。

「茉莉ちゃん、マジで俺のせいでもあるから…本当にごめん。その子を問い詰めたら眠った大吾は全く起きないから迫ることも出来なかったって言ってた…俺も大吾はそんなことしないって保証する。今回は許してやってほしい。」

テーブルに手をつくと、昌くんは深々と頭を下げた。
私はもう疑ってなんてなくて、でも何もなかった事とか、私が嫌になったわけじゃないことに安心して涙が流れた。
そして大吾の腕を強く抱えると、大吾の頭に顔をうずめた。

「怒ってない。大吾が私から離れて行くことが怖くてたまらなかった。どうしたらしがみついていられるんだろうって…良かった、飽きられたんじゃなくって…」

バコッ、バコッ、バコッ
驚いて顔を上げると、泣きながら由実ちゃんが丸めたメニューで大吾の背中を叩いていた。

「こんないい子にこんなこと言わせて!今度したら本当に許さないんだからっ!」

「おいっ、やめろよ。大吾だって反省はしてるよ。」

泣きながら怒っている由実ちゃんの腕を昌くんが掴んで止めていた。

「茉莉ちゃんがどんだけ不安だったか、顔色も悪くてご飯も食べてないし、ふらふらなのにバイトに来て私に笑顔で挨拶したのよ。この子を傷つけたら私が許さないんだから。」
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