愛というもの~哀しみの中で~
先にお風呂からあがるともう遅い時間になったから慌てて冷蔵庫からチョコムースケーキを取り出した。
大吾が上がってくるまでに用意をと切り分けてお皿に盛り付けた。
プレゼントとカードはテーブルの下に隠した。

コーヒーをいれているとタイミング良く大吾が上がってきてテーブルの上を見て驚いていた。

「バレンタインだから簡単なものだけど、作ってみたの。」

「茉莉が作ったの?すごい!」

そう言ってテーブルの前に座った。

「あとね、いつも迎えに来てくれてありがとう。寒そうだったからこれ、使ってね。」

そう言うとテーブルの下からプレゼントを出して渡した。
大吾は嬉しそうに笑うと、少し涙ぐんでいた。
私もだけど、大吾も結構な泣き虫だ。

「手袋とマフラ―。ありがとう。大切にする。」

チュッとほっぺにキスをすると、チョコムースを食べ始めた。
チョコムースを食べている姿を見て前からうすうす思っていたことを聞いてみた。

「大吾ってさ、甘いもの苦手?」

「うっ…苦手っていうか、茉莉の作ったもの意外は食べれないけど、茉莉が作ったものは特別」

ってまた意味不明なことを言い始めた。

「やっぱりそうかぁ、なんとなくだけどそうかなって思ってた。」

「嘘ついてたわけじゃないぞ?甘いものを食べる茉莉の顔が好きで、一緒に食べたら幸せなんだ。」

「意味わからないよ。無理はしないで。」

ちょっと照れちゃって口では冷たいことを言ってしまったけど、本当にこんな幸せ私には贅沢だ。
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