愛というもの~哀しみの中で~
18
電話に出ると、元気のない昌くんの声がした。
一瞬で嫌な予感がした。背筋が凍るような、嫌な予感…。

「茉莉ちゃん、落ち着いて聞いてな。大吾がさっき上から落ちてきた木材の下敷きになって病院に運ばれた。救急車に乗ったときには意識がなくて…、今心肺停止状態っていうのらしくて心臓マッサージを受けてる。すぐに来てほしい。」

心肺停止状態…
耳を疑った。でも昌くんはそんな質の悪い冗談を言うはずがなくて、しかも電話の向こうで泣いていたと思う。
意外にも頭の中は冷静で、とりあえず施設長に報告し着替えた。施設長はタクシーを呼んでいてくれてそれに乗って大吾の運ばれた病院へ向かった。

病院につくとどこに行っていいかわからずに受付に行くとすぐに案内されて、私は大吾の所に連れて行ってもらった。処置室の前に昌くんや先輩たちがいて、大吾はベッドの上で心臓マッサージをされていた。
後から聞いた話だけど、もう回復する可能性はゼロに等しいと医師から言われていたそうだが私が着くまではってみんながお願いしてくれていたらしい。

私は大吾の横に行くと、大吾の右顔面はガーゼで覆われており血まみれだった。
そこで初めて涙が出た。
きっと発狂するように大吾の名前を呼んでいたと思う。
私の横にきて昌くんが私の肩をだき、「茉莉ちゃん、お別れなんだ。まだきっと大吾は聞こえてるから。」って私をなだめてくれた。
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