愛というもの~哀しみの中で~
「その時に彼女の過去について聞いたんだ。中学生の時に塾に通っていたみたいで夜遅くに一人で家に帰っていて…。その時にレイプされたらしい。」

レイプ…。その言葉を聞いて心臓が速く打ち始めて胸が痛かった。
久しぶりに蘇る記憶に冷や汗が出始めた。そんな私に気づかずに真さんは話続けた。

「そのことを誰にも言えなかったらしくて、ご両親にも黙っていたって。もともと月経も始まっていなかったらしくて、気付いた時には堕胎できないほどに大きな赤ちゃんがお腹の中にいたらしい。お腹が重たくて勝手に動きだしたから怖くなって親に相談してわかったらしいよ。14才のときらしくて自然分娩するにはあまりにも未熟だからって帝王切開で出産したらしい。」

14才…帝王切開…レイプ犯との赤ちゃん…
私の頭はパニックになっていた。手の震えが止まらなかった。

「あ、あの、その、大下さんって、今おいくつですか?」

「たしかちょうど40才だったと思うよ。どうして?…えっ?茉莉さん大丈夫?顔色悪いし、汗まで。」

40才…14才で出産…レイプ犯との赤ちゃん…
私は呼吸が苦しくなった。でも頭は大下さんのことでいっぱいだった。
真さんは慌てて紙袋をもって来てくれて私の口に当ててくれている。
隣で何か言っているけど頭に入ってこなかった。

14才で出産…レイプ犯との赤ちゃん…40才…大下…透子…
< 267 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop