愛というもの~哀しみの中で~
真さんは困った顔で私をのぞき込む。

「そう言わずに。実は彼女もそれを望んでるんだ。」

彼女もそれを望んでいる…?
それはきっと私に気づいていないから…。

「なんだろう、彼女は強くて一人で生きてきたような人なんだけど、どことなく茉莉さんに雰囲気が似ているんだ。強情なところとかそっくり。」

真さんはそう言って少し笑っていた。
似ている…似てはいけないのに…レイプ犯との間にできた子が自分に似ているなんて…

それからは無理やりだった。
嫌がる私をせかすように着替えさせ、タクシーに乗せられて待ち合わせの場所に連れていかれた。

「昨日、話をした後に今日一緒に会いに行こうってお願いするつもりだったんだ。」

私はもう気力がなく、抵抗することさえせずに手を引かれ待ち合わせのお店に入った。
まだ大下さんは来ていないみたいで先に案内された席に座ると、真さんは二人分のコーヒーを注文した。
それからしばらくして大下さんがお店に入ってきた。
彼女の姿を見つけるとまた動悸がしはじめた…。どうしよう…。
冷や汗が出始めて、思わず隣にいた真さんの服を掴んでいた。
真さんは大下さんを見つけて手を挙げてるときで、こちらを向いて私の様子がおかしいことにやっと気づいた。
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